手裏剣を練習していた時期があった。
棒手裏剣だ、いきなり物騒な話であるが
しかし太極拳の演武会などを見ると羨ましくなるのだ。
私の所属する日本陳式太極拳学会は毎年5月に演武会がある。
試合に出るために、赴くこともあるのだ。
私はずっと地方にいるので、新しい型をなかなか習わない。
別に、それならそれでいい・・・・今知っている型だけをとことんやればいい。
と思ってはいるのだが、演舞会などで,、皆が武器を振り回しているのを見ると やはり羨ましいのである。
だが、習いに行くのも地方にいる身では、なかなか困難である。
そこで、甲野善紀さんのビデオ(NHKでやっていたものを録画した)を見て、
独学で手裏剣術をやってみたのである。
棒手裏剣はダーツのようにまっすぐには飛んでいかない。
投げ方は色々あるが、直打法を練習した。私が持つ解剖学と武術の知識を総動員した結果、もっとも実戦向きに思えたからだ。
手から離れてから的に当たるまでに、約90度の回転をしながら的に突き刺さるものだ。
3メートルほどの距離にあてるまで、1ヶ月程かかっただろうか。
マッサージに行くと、「異様に右腕が張ってますね」とか言われてしまった。
練習を重ね、7~8メートルの距離に高確率で当てれるようになった。
目標は
・先の尖ったものなら何でも当てられるようにする
・最終的には10メートルの距離を下投げで当てられるようにする
と考えていた。
ある日、ふと思いついて出刃を投げてみた。的は家にあった使ってない畳だ。
見事に90度回転し、畳に突き刺さった。
そのとき・・・
ゾっとした、こんなことが出来るようになった自分が恐くなり鳥肌がたった。
なんと・・・出刃は畳を貫いていたのだ。
自称インテリの私はいらない知識が多い。 畳についてこんなことを知っていた。
畳というのは戦国時代に織田信長がその厚さや大きさを決めたのだという。
身を守る盾としていつでも利用できるように、人が隠れることが出来る大きさ、
そして、火縄銃の弾を通さない厚さなのだ。本能寺では畳でその身を守っていたのだろうか。
その畳を貫いている、自分の投げたナイフが。
人造人間を造ったフランケン・シュタイン博士の気分だ、
人を殺す術を身につけてしまった事を実感した。
そして思う。
私は歯医者だ。麻酔や投薬で人が死ぬ、そんな例が稀にある
そして予測はなかなかに難しい。
麻酔を手に持つ時、薬を処方する時
あのぞっとした感覚を思い出したほうがいい。
ちなみに、もう手裏剣はやってません
エリがいるので・・・・
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