世の中には、ギリギリまで何もしない人がいる。
まあ、私も人の事は言えないが・・・
これは、あるプロのチューバ吹きの喜劇である。
そのチューバ吹きはギリギリまで何もしないことで有名な方だったらしい。
ある日、演奏会があった。
そのチューバ吹きはいつものように、クリーニングに出した演奏用の正装を楽屋に持ってきてもらった。
他の団員は当然のごとくクリーニング済みのものを家から持ってきているが、この方はクリーニングに出すのもギリギリなので、楽屋に持ってきてもらうのが日常的になっていたらしい。
そして、そこで早めに着替えればいいものを、開演時間ギリギリまで着替えようとしなかった。
その方に会ったことはないが、チューバ吹きには太った人が多い(偏見) 正装はギリギリまでしたくないのはよくわかる。暑いし・・・
しかし、そのことが悲劇を呼んだ。
さあ、着替えよう・・・そう思ってクリーニングの袋をあけると・・・・
ズボンが入っていない!
クリーニングに確かに出したズボンがない。店の人が入れ忘れているではないか。
どうする?常にギリギリだった為に演奏時間は迫っている、今更クリーニング屋に電話をかけても絶対に間に合わない。
いっそ、ズボンなしで出るか?
できるわけがないッ!ジャイロ!
そんな恥ずかしいこと できるわけがない!
仮にもプロなら できるわけがない!
今後もプロとして活動するなら できるわけがないではないか・・・
ではどうする?誰かスペアを持ってないか?この際黒ければ何でもいい!
「ズボンじゃないけれど・・・」
あったのは黒いトレーナーであった、そんなバカな。
しかし、もう時間がない。
仕方がないのでそれを穿いた、しかしモノがトレーナーである。ぽっかりと空く穴が目立ちすぎる・・・
しょうがないので、絞って結んだそうである。
あとは、気づかれないように楽器で隠す、チューバはでかいのでそれが可能であった。
なんとか、演奏会はバレずに終わった。
周りの人達よく吹き出さなかったものだ。
楽屋で安堵のため息をもらしている、とそこにものすごい勢いで楽屋の扉をノックするものがいる。
「スミマセンこれ、わすれてまし・・・・」
扉を開けたクリーニング屋さんの見たものは・・・・
トレーナーをいびつに下半身に穿いたいつものチューバ吹きだったそうである。
その話聞いて以来 必死に演奏者の服装をみるようになってしまった。
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