さて、上顎の歯のアーチの凸凹を埋めるのは困難であることが分かった
次は下顎である 1つだけ飛び出た歯を基準に隣の二つの歯の表面を覆う
・・・が、壊れやすい
何とか壊れないような厚みを持たせて装着
これは正直言って金属で作った方が良いものが出来そう
だが、鋳造の際のワックスアップは技工士じゃ解らないから私がやんなきゃだめだろうな
そして、ここから先は全く想定していなかった
上顎のアーチを見てみると、両側の5番目の歯が引っ込んでいる
この部分をスプリントで覆い、頬粘膜と歯の隙間を埋めると都合が良いそうである
そう言えば、患者さんや楽器をやっている知人達の中で 歯が抜けたり抜いたりした後、途端に楽器が吹き辛くなる人達が居る
管楽器を吹く場合、喉から楽器に一直線に空気が通る事はとても大事な事なのかもしれない
で、あれば 口の中に出来るデッドスペースをミュージックスプリントで無くしていけば より吹きやすくなるのではないか?
とりあえず、ウチにあった1.0ミリのスプリントで製作したものを違和感がない程度の大きさに切って装着し、頬粘膜との間を盛り足して埋めてみた
このスプリントが気に入ってもっと違和感のない物をご所望の場合
これより薄いものが必要になるかも・・・
盛りすぎてもいけないし、足りないと話にならない
少しづつ盛り足して調整していく
吹きやすく、違和感のない妥協点 それを探りながらの作業だった
これをやって思ったのだが、これは治療ではない気がする
悪い所を治す・・・今までやっていたのはこれである
ミュージックスプリントもいくつか製作したが、たいていの場合 吹くと唇やその粘膜が「痛い」という明確な主訴があった
主訴に対して治療する それが、今までやってきた歯科での仕事だった
が、この場合は痛くないのである
より都合よく・・・より便利に・・・ 今まで人類を進歩させてきた思想ではないか?
医療の場でドクターがやるのは珍しい仕事だ
スポーツ選手が、靴の底敷き・・・インソールというのか?
あれを自分の体に合ったように作ると聞いたことがある
今回やった、このアダプターは その作業に類するモノのように思われる
だが、スポーツ選手が靴や道具を工夫して使いやすくするように
管楽器奏者が口の中にこのようなアダプターを入れる事を
歯科医師が手伝うという事が
もっとあっても良さそうな気がする