人並みの歯並び・・・
それに少しでも近づけるためにミュージックスプリントを作る
今回は、前歯の凸凹を解消するために歯に装着する
アダプターを作る事にした
凸凹部分に装着する
この場合、普通の歯科治療と違って「咬む」事は考えない
歯並びのアーチをなだらかにするだけの物を目指す
金管楽器では歯の厚みに気を付ける
歯のアーチの最大豊隆部を超えてしまっては違和感が生じるのだ
何種類も作ってみた 材質はラバーと樹脂
ラバーは表面がツルツルしない事が欠点で、樹脂は長い物を作ると割れてしまう事がある
金属で作る事も可能であるが、それには試作品として、ラバーか樹脂で一度作ってみた方が良い
作っている途中で思った
歯並びの悪さのせいで、都合の良いV字溝が出来ているのではないか?
この手の治療の第一人者である根本先生が、その著書で書いておられるが
前歯に隙間があると、金管楽器は良い音が出る・・・
そのような説があるのだ
現に高校生だが、患者さんで凄い腕前のトランペット吹きが来院された
彼の前歯には良い感じの隙間があった
エースやってるのも頷けた
なので、前歯のV字溝は残した方が良いと考えた
が、主訴が「普通の歯並び」である事や 本当にV字溝が本当に演奏に関係あるのかという疑問を解くために、ひとつはV字溝を埋めるかたちのものも作成することにする
そして、受診当日
作成したアダプターを装着してみる
この治療の面白いのはここからである
装着した状態で、実際に楽器を吹いて貰う
やはり前歯に出来たV字溝を埋めた物はダメだった
無意識に、そのV字溝を利用していたのだろうという仮説が証明された
その後、上顎の前歯を覆ったアダプターはことごとく失敗に終わる
が、正直に言って予想通りではあった
金管楽器は演奏時 マウスピースの中で唇が振動するわけだが
その時、上唇と下唇の振動回数は異なるらしい
より振動するのは上唇である
今まで培ってきた振動を、アダプターで変化させることは困難であるという事だろう
つづく