先日、実に久しぶりの来院者がいらっしゃった。
ちょっとドキッとした。
初診で来られた時、紹介状を持っておられた。
私宛のものではない、次に診療するドクター宛だった。
内容は、オブラートでぐるんぐるんに包むとこんな感じだ。
(8ヶ月前に神経を抜いた歯がまだ痛んでいる。私は2人目のドクターだが治らなかった、この度 県外に引っ越すらしいので次に診るドクター宜しく)
そんなバカな・・・
2人のドクターが半年以上かけて治らなかった歯を私に治せっつーんか!
正直、神経の治療に関してドクターの腕は皆大差ない。
と、いうのもやり方が殆ど同じだからだ、確立されていると言って良い。
ようするにどこへ行ってもやることは同じである、今まで2人の先生が診てダメだったのを私が簡単に治せれば苦労しない。
プレッシャーだった、正直ダメなら抜くことを前提にしなければならないだろう。それをこの来院者さんに話す。
そして、治療に入ったわけだが・・・・
何かおかしい・・・
歯は上の6歳臼歯・・・確かに叩くと痛いらしい・・・が、見た感じが変だ。
実はこの歯は通常は神経が3本ある、ところが稀に4本目の神経がある人がおられるのだ。
卒業後に神経治療専門の科に入局して、そこらへんは良く診れるようになっていた。
そして、この方も4本の神経があり、そのうちの1本が手付かずになっている。
これか?
早速その神経の管を治療してみた。
治療器具をとりかえるために ほんの数秒間、歯から目をはなして再度見ると・・・
「おおっ!」っと思わず声を出しそうになった。膿が出てきている、
これでわかった、ここが原因だ。
この4本目の神経のせいで痛みがとれないと言うことは殆ど無い。
そのせいで、今までの先生方はここを治療していなかったのだ。
そのうちにこの神経が膿んでしまって痛みがとれなかったのだろう。
滅多にあることではない、科の同窓会の時にそれを話すと
「へぇ~ホントにそんなことあるんだ」と感心された。
膿を出し、徹底的に洗浄する・・・そしてこの日の治療は終了した。
次回来院された時・・・
すっかり痛みがとれているではないか!1回で。
フッフッフ・・・どんなもんだ、2人がかりで半年以上治せなかったのをあっという間に治してしまった。
「ウン十万円頂きましょうか・・・・」
ブラックジャックよろしく、そう言ってみたかった。
あ、ちなみに今回の来院はその歯が原因ではありませんでした。安心
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