ぬけぬけと文才があるなどと書いてしまったが
友人でえらく文才のあるのが居た、私はそいつにはとても及ばないだろう
3月に、いつも岩手に墓参りに行っているが
そいつの墓なのである
たしか、おねぇちゃんが文章書く仕事をしているとか言っていた
文才があるのは血筋と言うか育ちというか・・・
兎も角もそんなやつだった
この友人、とにかく文章を書くのが好きで、よく授業中に書いていた
素人の文章ながら読みやすく面白いので楽しんでいたものだ
授業が終わった後に手渡されたり、授業中に受け取って読んだりするのだ
勉強しろ
いつだったか傑作ができたから見に来いと言われそいつの部屋に行く
同じ寮に住んでいたころがあったのでその時だ
読む前にジュース一杯賭けた
笑ったらジュースを奢り、笑わなかったらジュースを奢ってもらえる
素人の文章だし笑いをこらえればいい筈なのだが、思わず笑ってしまいジュースを奢るはめになってしまったものだ
それくらい面白い文章を、彼は書いていた
生きていればきっとブログをやっていたことだろうな~と思ってしまう
ある日、私がクラブの定期演奏会をやった次の日だった
授業が終わってすぐ
彼がまた授業中に書いたものを得意げに、目一杯の期待を込めててわたしてくれた
「呼んでくれ」
受け取る私大きく咳払いをして読み始めようとする
「おう、そうか」
「ウオッホン!」ペッ
手渡されたレポート用紙をクシャクシャと折りたたんでごみ箱へ
あわてる彼
「おいおい、なにすんだ 読んでくれよ」
「わりぃ・・・」
ポイと捨ててしまう私
昨夜は遅くまで飲んでいたので体調が悪かった
咳払いをしたはずみで彼の書いた紙の上にタンがついてしまったのだ
で、仕方なく捨てた事を説明
あの絶望と怒りと呆れが程良くブレンドされた顔
きっと忘れんだろうなぁ・・・
翌日彼が怒った顔で新しい文章を書き上げたと見せてくれた
前日に起こった実話をもとに書いたそのタイトルは
「失われたバイブル」だった
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