私の古い記憶であるが、ゾウが大きかった。
今見るゾウは小さい。イヤ大きいのだが、私のイメージに比べると小さいのだ。
この記憶・・・そもそもさかのぼれば3歳になった私が、両親と東京に居た伯父らと一緒に上野動物園に行った記憶であるようだ。
上野動物園と言えばパンダである。
昭和50年代になった頃と思われるが、その頃いたパンダって誰?
カンカンとランランだっけ?
親の気持ちからすれば、メインはパンダだったのかもしれない。
私が喜ぶだろうとパンダを見せに行ったと聞いた事がある。
が、パンダは寝てばっかりいたとか何とか・・・
それに、パンダは珍獣であるとかいうリクツで見せたかったのかもしれないが。
3歳児に珍獣とか言っててもしょうがない。
私が当時好きだったのはゾウだったのだろう。
他には、私がトラの檻に書かれている
トラのオシッコに気をつけて下さいとかいう看板を見て偉くウケていたとか聞いた事がある。
なんでもトラのオシッコは霧のように散布されるので注意が必要とか何とか。
で、当時3歳だった私がなぜウケたかというと・・・実は2歳7ヶ月で字が読めるようになった天才児であるらしい。
親は未だにぬか喜びさせられたとか言いやがる・・・
いいかげん諦めろという話だ。
弟と妹見てても読めるようになったのは4歳じゃねぇか。
初孫だったゆえ、爺ちゃんが喜んで買ってくれたヒラガナやカタカナの絵本を毎晩読んでもらってたと裏がとれた。
かってに教えて、かってに喜んで、かってに裏切られたというだけの話だ。
記憶もないのにこっちとしては良い迷惑である。
そう、殆どの事は記憶に無い。
その私がその動物園で唯一・・・未だに記憶に残っているのがゾウなのである。
ゾウが好きだったのだろう。
3歳児の私が見るゾウだ。
大きかった。30年後に大きな借金して建てたこの医院よりも大きかった。
そんな記憶である。
今、ゾウを見てもそこまで大きく感じないのはそんな訳だ。
その時にバナナだったかな?
ゾウにあげようとして、誰かに抱っこされて手に持ったバナナを差し出していた。
だが、恐かったのも事実だ。
3歳児の私にはあまりにもゾウは大きかった。
恐くて手を延ばしきれなかったのだ・・・
ゾウは隣の知らないオジサンのビスケットを鼻で掴んでとっていった。
私のバナナは手に残ったままだった。
・・・30数年たった今も尚、少し残念な記憶として残っているのである。
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