いよいよ私の唯一の出番 全体合奏の「こうもり」である
機動力のいい楽器ではないので早めにステージの横に行って、アナウンス担当の睦月さんに楽器を持っててもらって椅子出しをする
ステージの用意が終わって楽器を受け取りに行く
自分の背丈と同じくらいの楽器を支えている睦月さんがいた
この子は同じ大学の後輩で、私とは1歳と離れてないのだが、もともと背が低いうえにもの凄い童顔な子であった。
誰もが小学生だと思ってしまうほどであり、フリルのある子供服でも着せようものなら今でも小学生で通ることだろう。TVで視るどんな童顔よりも童顔である
対する私は学生時代は年相応に見られたためしがなかった。
弟と床屋に行ってお父さんと間違えられたり・・・
19歳で40代に間違われた事もしばしばだ。
で、学生時代に合奏中に私の前に睦月さんが居たときに、口の悪いトレーナーが
「おまえら、それじゃあ親子だぜ、まるで」
と思い切り冷やかしていった事があった ちっくしょうあのオヤジめ・・・
今現在の私は、歳相応に見られている。
って事は、学生時代よりも今の方が若く見えるのか?下手すりゃ・・・
話は逸れたが、いよいよ本番だ
なぜか真ん中に座ることになっている私 イヤな予感とともに和久井先生の登場を待つ
なぜイヤな予感がしたのか?
ひとつには直前に少し音を出してみた際に・・・
とても音が出にくかったのだ
それもそのはず、スタンドが無かったのでケースに入れていた楽器であるが・・・
下はストーンの床だった ストーンって思いっきり熱が逃げてしまう
楽器が冷えていた 急いでフーフーと温めたが何処まで効果があることやら。
いよいよ和久井先生が登場する
盛大な・・・程ではないが拍手がおこる こんな演奏会によく関係者以外の観客が居たものだと思うのだが・・・
どんなトリック使ったんですか?K・田村君
指揮棒を構えて全員の呼吸が合わさる
「ジャン・ジャン・ジャン」
最初の音でやばさに気づいた
皆はアンサンブルでステージをやっているので、テンションが高くなっている
リハの時より元気がいい 本番の緊張もあるのだろう
そういえば、何年か前にN響がベートーベンの交響曲をぶっとおしで9曲やっていた。
和久井先生は6番「田園」のソロやって盛大な拍手を貰ってたが・・・
おなじみの第九になって合唱が入った
合唱がパワー負けしているように感じた 1~9までやってオケのテンションが上がりまくっていたように私には感じた
そして、今コントラを吹いている私はその時の合唱の気分だ
乗り遅れている・・・
しかも、この楽器 音程はいいが慣れてないと中音域で当たりにくい音があるのだが、冷えてて更に当たらない・・・
しかも、どこだったか小節がチョッピリずれた
まあ、現役時代からズレまくっていたので修正はそんなに難しくない
私は井之口さんやK・田村君とは違い、姑息なことばかり上達したのだろう
こーいうのは上達と言わずに下達というのだが・・・
それでも何とか演奏が終わった・・・終わって和久井先生に
「どーなるかと思ったよ」
と言われてしまったけどな・・・
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