あれは何年前の話だったか、開業する2年位前になるか・・・
3月に大学の仲間が岩手に集まる、恒例行事だ。
翌日に休みをとっていた私は、仲間を見送った後 部室に顔を出した。
その時、ちょうどベートーベンの交響曲第7番を何人かが初見(練習なしでいきなり楽譜見て合奏する)で合わせようとしていた。
8割は知らない現役部員、何人かは知っている顔ぶれだった。
ベートーベンの7番、かなりメジャーな曲だ。
この間 流行った「のだめカンタービレ」で結構知った方が増えたと思う。
私も現役時代に何度もやった記憶がある
丁度ファゴットが居なかったので、楽器を手に取った。
しかし・・・・
全く吹けない・・・しばらく楽器を手にしていなかった、いや少々手にしたがほんのひとフレーズ吹いて終わる。
交響曲をひとつ・・・など無謀であった。
やれやれ、まいったなぁ・・・
恥をかいたような感じまでしたものだ。確かに上手くはなかったが現役時代は指揮までしていた私がこんなザマか・・・
そう思いホテルに帰ろうとしたが時間が少々ある、ふと思いついた。
学生寮に顔をだしてみるか・・・・
寮の名は圭友会館
卒業まで、私はそこで過ごした。築何十年の建物だったか・・・・震災の後、チェックが厳しくなり 実は不法建築だった・・・等といわれる建物だ。
色々な思い出がある場所、青春時代を過ごした家だ。
何年ぶりで入ってみたが、寮母さんは温かく迎えてくれた。
いいものだ、とても暖かい気持ちになるが・・・・
少し変な感じがする。
学生の姿がほとんど見あたらない・・・・
なんと、圭友会館はあと数ヶ月でとりこわされる・・・・そんなことになってしまったらしい。
理由は違法建築ではなく、大学の移転にともなうものであった。
その時の写真である。
この後、鯖の塩焼きをご馳走になった。変わらぬ味がとても嬉しかった。
「味噌煮のほうが好物だったね」
と、よく憶えていて下さったものだ 悪ガキどものお世話 ありがとうございました。
その時に、あの食器をいただいて帰ってきた。
私は家を新しく建て、すべてが新しい生活になった・・・だが食器は学生時代のものをつかっている。
あの時、盛岡という街が自分にとって かなり過去のものになった、その実感が湧いてきて とても淋しい気分になった。楽器は吹けないし寮はなくなろうとしている。
そして私がとった行動は・・・・
次の年、開業前の休みを利用して 盛岡に1週間程泊り込み 楽器を吹き込んで定期演奏会に出演させてもらったのだ。
寮母さんのウチの定食屋にも顔をだしたりした。
それ以来・・・また盛岡が近くなった気がする。
まだまだ過去のものにする気などない。
無題
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懐かしいなぁ
Re:懐かしいなぁ
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