金属を歯に着ける時にセメントを使う。
昔は科学的な接着力の無いセメントだったが、科学の進歩に従って接着力も増している。私は場合に応じてセメントを使い分けしている。
例えば、被せ物の前の土台は「もしも、再治療になったら」
ということを考慮して、フッ素除放性が強いが接着力はそこまで強くないものを使う。
「再治療を見越すような治療はしちゃいけないんだよ」
と自信満々に言う人も居るが、ハッタリかましたパフォーマンスだ。
人間のやることにそこまで差は無い。再治療になる確率はどんな人がやっても同じようなものだ。
それに、私は「再治療にならないようにする努力」は人よりしているつもりだが、それでも、万一ってことは考える。
普通につける場合はそこそこ着いてフッ素除放性もあるもの、しかしこれは水に弱い性質があるので唾液に触れないように工夫する必要がある。
外れやすい人、唾液の多い人には今現在最高の接着力を持つセメントを使う。
しかしこれは、単価が高くフッ素除法性も無い。
このように、歯科医は接着力と言う点においては神経過敏になっているものだ。
時と場合に応じてどれが適切か、色々考えているのである。
そんな私にチョット困ったことが起きた。
実は院内で使用している内履きの靴があるのだが、その靴底のゴムが剥がれてきたのである。
このままでは完全に取れてしまって平安時代の貴族さながらの靴になってしまいそうな雰囲気である。
さて、どうしたものか?
現在、歯科最強のセメントと言われるスーパーボンドでくっつけてしまおうか?でも合成の皮とゴムが相手でどこまでその効力を発揮できるものか。
しかも、やっぱり単価が高いのが気になる。
他のセメントは・・・
はたしてそんなものが成功するのだろうか。
いつも接着力に対して過敏になっていながらこんな時には無力なものだ。
新しいのを買おうかとも思ったが、結局ホームセンターでジェル状のアロンアルファを買ってくっつけてみた。
とってもいい具合じゃないか?途端に動きやすくなった。
なんだか、いつも接着に対して過敏になり過ぎてんじゃないかとむなしさを感じた。
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