盛岡に行った折、久しぶりに指揮の先輩と飲んだときの話。
後輩の指導の時、オーボエとフルートの関係をマティーニに例えたと言う。
素晴らしく巧みな比喩、聞いた瞬間に何を仰りたいか解る、流石である。
マティーニ・・・いわずと知れたカクテルの王様。
レシピは基本的にはジンとベルモットで創られるカクテル
しかし、これがバーによってさまざまに違う。
あるバーテンダーに聞いたところ「バーの顔なので気を使う」と言っておられた。
まあ、ジンだって幾つもある
ビーフィータ、タンカレー、ブードルズ、ボンベイサファイア、シュタインヘイガー
これらのマティーニは飲んだことがあるが、それ以外にも、ゴードンやらボルスやらウィルキンソン、プリマス・・・
ベルモットだって、ノイリープラットやらチンザノやら、TOSO、マルティニ、ガンツィア、バルベロ、他にはなんだ・・・
しかも、その2つの酒の比率をを何:何にするか・・・
3:1、 5:1、 7:1、 10:1、ただリンスするだけ。
ドライなほど粋だと言われるマティーニ・・・行き過ぎてベルモットの栓を上に通すだけ、とか 棚のベルモットをチラッと見てベルモットが入ってないものを飲む「チャーチルスタイル」なんてのもあるが・・・
これは如何なものか・・・
もともとマティーニってのはイギリスで、ワインやブランデーの輸入関税が引き上げられた時、安価でアルコール度数の高い・・・ビンボー人がただ酔っ払うためだけの酒であるジンを品の良い味に変え、美味しく飲むために創られたカクテルである。
それにベルモットを入れないなんてのは本末転倒であると考える。混ぜてこそのカクテルだろうに。
これらを混ぜた後にも、中にオリーブを入れるかレモンピールを入れるか。両方入れるバーテンダーも居るし・・・
オリーブにはアイスピックではなく爪楊枝にこだわる人も居るし・・・
オリーブも黒いものつまり「バックアイマティーニ」にする人も居る。
そして、さらにビターを入れる入れない、レモンピールの吹きかけ方等。
バーテンダーによって様々で、「バーによって一つとして同じマティーニはない」と断言する方もおられる。
これとオーケストラが同じだと先輩がおっしゃった。
たとえば、木管楽器のオーボエとフルートの関係。一つとして同じ音で吹くオケはない
その楽団にいるオーボエ、フルート あの楽団に居るOb、Flでオケの顔は様々に変わってくるのだ。
特に毎年顔が変わる学生オケになると、その違いが現れる。
そして、周りはその顔に見合った演奏を行う・・・
だから、同じ曲をやっても同じものには絶対にならないのだと彼は言いたいらしいのに・・・
「まず、マティーニを知らないからさ~」と嘆いておられた。
しかし、最近は男ですらハードリカーを飲めないヤツらが多いのに・・・
アルコール度40度近いカクテルを二十歳そこそこの若い女の子は飲まんだろうな~と内心で思ってみたりして・・・
それに学生時代・・・指揮の師匠であるこの先輩にくっついていたが、マティーニなんて上等なものをいっしょに飲んだ事は無かった気がする・・・
まあ、無類の酒オタクな私は部屋で自分でつたないマティーニ作って飲んでたものだけど・・・あの時のマティーニはそれはそれで美味しかった。
マルティニとなんだっけ?安~いジン使ってシェイカーでクルクル混ぜてたな。
ちなみに今の私が好きなマティーニは「タンカレー・マラッカジンとノイリープラットのエキストラドライを7:1くらい」で創るもの、
マラッカマティーニと呼んでいるが・・・残念ながらマラッカジンは既に創られていない・・・実家の地下に1つとってあるが・・・
プレミアついた頃にでも飲むか。(既にオークションでは1本2万とか)
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